生成AIが注目を集め始めた頃「司法書士を含む"いわゆる士業"の仕事がAIに奪われるのではないか?」という議論が様々な媒体で取り上げられました。
その頃より3~4年が経過したでしょうか。
生成AIは様々な分野で技術的にも活用範囲についても発展拡大し、当職のようなITに疎い人間の手にも届くようになりました。
先日、OpenAIのChatGPTを実際に使用する機会がありました。
試しに複数の条件を提示し(意図的にひっかけも混ぜて)、売買を原因とする所有権移転登記申請書を作成させてみました。
結果として、一見それらしい形は整っているものの、提示した内容を表面的に並べただけで、ひっかけにも引っかかり(間違いだということは適示されなかった)、実務ですぐに使える水準には至りませんでした。
つまり、命令を受けたAI側で一般的な登記申請書のひな型や、一定の登記の目的のために必要な記載事項、添付書類、登録免許税の計算の仕方などをWorld Wide Web上で調べ上げたうえで、申請書を作り出すものはなかった、ということでもあります。(当職のAIに対する認識とは異なっていた。)
もちろん、より詳細なプロンプト(指示)の入力や申請書のひな型の提示など、様々なやり取りを個別に重ねることで、正確な申請書が作成できた可能性はありますが、自分で入力した方が早くて正確です。
よほど時間に余裕がない限り、AIを育てることに時間を割くつもりはないですし、登記書類は諸々の法定要件をクリアする必要もあり、緻密で繊細な作業となるため、手放しで任せることは難しいと感じました。
ただ、登記以外の業務においては、生成AIはかなり有用であることを実感しています。
現在、特性の異なる2つの生成AIサービスを使っています。
具体的サービス名についての言及は避けますが、一つは文字認識や音声認識に優れたサービス(ただし日本語の文章構成力が弱い)、もう一つはその文章構成力に強く、論理的思考力に秀でたサービスです。
例えば、最近特に役立ったのは、とある会議での議事録作成でした。
会議の音声を前者のAIに読み込ませ、文字起こしと内容の要約を行い(ただし、主体や客体が混乱することもあるため、最終的に補正はする)、後者のAIでその要約をきれいな日本語となるよう、また論理的な文書となるようまとめてもらいました。記憶やメモでは捉えきれなかった事項まで適切に文書化されており、非常に有用でした。
ただし、生成AIに過度に依存すると、自身の文書構築能力が相対的に低下してしまう懸念もあります。
個人特有の生きた文章表現とはかけ離れた「優等生」的な文書構成となってしまうこともあまり好きではありません。
そのため現在は、業務時間の削減に明確に効果がある作業や、単純に記録だけしておけばいいような作業に限定して活用しています。
また生成AIを使用することによる情報漏洩リスクのことも考えなければなりません。
各サービスのプライバシーポリシーを確認することは必要であり、機密性の高い情報や個人情報の入力は避けるようにしています。
実は私が所属している東京司法書士会の専門研修室において、来月4日に「生成AIを活用した司法書士業務」と題した研修会を企画しております(※東京司法書士会会員限定)。
新潟県司法書士会から川嵜一夫先生を講師としてお招きし、司法書士の立場からのAIの具体的活用方法について論じていただく予定です。
とても楽しみにしている研修であり、この件はまた当ブログにてご報告したいと思っています。
生成AIサービスについてはまだまだ黎明期で、今後も様々な活用法やサービス、また問題も出てくると思います。
登記の専門家としても、今後の動向については注視していきたいと思います。
2025年6月11日
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